進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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肩関節の自由度が(高いではなく)『低い』理由

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肩甲上腕関節は可動域は広いですが自由度は非常に低く、ほとんど一種類の動きしかできません。

その理由を骨の強度と形状から古典物理的に考えていきたいと思います。

 

まず、骨はカルシウムでできています。カルシウムは鉄などと比べもろいので、体重を支えるためには太くなければいけません。ですので、骨幹がある程度太くないとすぐ折れてしまいます。実際上腕骨や鎖骨はよく骨折しますね。

 

もしも骨幹が細ければ、工学でいうボールジョイント的な自由度の高い動きが出来ます。

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おそらく、この動きが一般的な肩関節のイメージではないでしょうか。

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↑この図のイメージです。

でもこれでは非常に骨折しやすいので、実際の上腕骨や大腿骨の骨幹は骨頭とほとんど同じくらいの太さです。

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でも、こんなに骨幹が太いと可動域が狭く、回旋しかできなくなります。

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こまったなぁ、でも消化吸収の関係から骨を鉄やチタンにするわけにはいかないし、ということで、生物は骨幹と臼蓋を移動させることにしました。

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茶色が上腕骨幹で、水色が肩甲骨の臼蓋だと思ってください。

 

こうすることで、広い可動域を確保できました。

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まだ傾斜角を考えていませんが、これが肩関節と股関節の基本です。

 

ただしこの方式には欠点があります。可動域は広いのですが自由度が非常に低いのです。

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少しでも臼蓋から外れそうになるとすぐにインピジメントが起こりますし強い衝撃が加わると脱臼します。

 

 

自由度≠可動域

自由度と可動域は反比例する

という理由がお分かりいただけましたでしょうか。

 

 

肩のインピジメントは外傷としてはたいしたことのない部類に入りますが、肩関上腕関節を間違った方向に無理に動かすことによる痛みは「腕を常に液体窒素につけているくらい痛い」「腕切り落としてしまいたい」というくらい強烈に痛いものです。

肩を扱う理学療法士さんはぜひとも肩関上腕関節を無理に動かさず、正しい動きを心がけてください。

 

 

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