今回は長くなったので目次をつくってみました。
「おさらい」部分を知っている人は「本題 平面関節の特性について」から読んでください。
おさらい 球・臼関節の特性について
股関節は臼関節ですので以下のような動きをします。
これは、可動域は広いが自由度が低く、脱臼やインピジメントが起こりやすいという欠点のある形状です。また、動かすときに大きな筋力が必要です。
参考過去記事
本題 平面関節の特性について
ご存知、脊柱を構成する平面関節は軸にそってくるくると回旋します。
教科書的には、体幹は屈伸や側屈すると書かれていますがもし本当に脊椎がこんな↓動きをしたら脊髄損傷になります。
脊椎は回旋しかしません。
でも体幹は屈伸や側屈しますよね。その理由を解説します。
脊柱の屈伸や側屈の特性
脊柱の屈伸や側屈は、股関節や肩関節などの屈伸や内外転とは全く違う理屈で起こります。
↓脊柱は関節面が図のように斜めになっています。
この形状で単純な軸回旋をすると関節面が歪んでしまうので、斜め方向に軸がずれながらの回旋をするようになります。↓
この『軸がずれながらの回旋』も、↑上図のように脊柱一つ一つの関係を拡大してみると、普通の回旋とさほど変わらない地味な動きに見えますが…
脊柱は小さい骨の集まりですので、全体図を模式化すると下のようになります。
この状態で『軸がずれながらの回旋』をしてみると…
脊柱の回旋という地味な動きをしているだけなのに、体幹全体をみると外転や屈曲という派手な動きをしているように見えます。
関節面が水平なフラットな平面関節だと、回旋してもただくるくると回るだけになります。
脊椎が回旋で屈伸や側屈を行うメリット
回旋は関節面のずれがすくなく関節に負担がかからない
→損傷のリスクが少ない
回旋はてこの柄が短い
→少ない筋力で大きな出力が可能。
さらに、 以下の記事で解説したようにできるだけ遠位の関節を動かしたほうが運動に有利になります。
歩行をするなら股関節で屈曲伸展を行うより頚椎や胸椎で屈曲伸展させたほうが約2倍も能率的です。
また、そもそも自由度の低い股関節のみで歩行を行おうとするとこんな↓意味不明の歩行になってしまいます。
なぜ体幹を動かさずに股関節膝関節のみで歩行しようとすると↑のような歩容になってしまうかの記事はこちら↓
終わりに
今回は、理学療法のメインとなる歩行の評価治療において体幹と脊柱の動作を評価することがいかに大切かを主に関節運動学の視点から解説しました。
リハビリにおいて体幹と脊柱の運動がどれだけ重要か、はいくら解説してもしきれないくらい深い部分なのでまた視点を変えた解説もしていきたいと思います。
歩行に関する過去記事