進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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キネティックチェーンと予測的姿勢制御の研究で見落とされていること

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キネティックチェーンとは簡単に言うと、一部の関節が動くとその他の関節も付随して動くという現象の総称です。

また、予測的姿勢制御とは簡単に言うと、上下肢が動く前に体幹運動が発生し重心をコントロールしているという現象です。

 

 

 

KCとAPAを臨床で使いこなす

リハビリ技術の向上のためには従来のような、手は手だけ、足は足だけという単純な考え方を変える必要があります。複雑な人間の動きを理解するためにKCやAPAという考え方が必要です。ですが、これらは非常に複雑でまたケースバイケースで無限のパターンがあり、理解が難しい部分です。

これら複合的な人間の運動をきちんと理解し、臨床に生かすことができていると自信を持って言い切ることができる理学療法士はどれだけいるでしょうか。

 

 

キネティックチェーン(KC)と予測的姿勢制御(APA)に関しては、多くの研究がなされていますが現状では大半が足底などの局所的な各論研究か、中枢制御に関してのものにとどまっています。

これは、無限にある運動パターンすべてに対して数百ある全身の関節の運動を検証するとなるとあまりに膨大なデータ量となるため現在のコンピュータ技術では扱いきれないというのが原因です。

 

参考文献

Ⅰ.予測的姿勢制御について

 姿勢制御に関する研究は,Magnus1)以来長い間大脳皮質などの上位脳の機能を除外する方向で為され,主に脳幹を介する姿勢反射に焦点が当てられてきた.最近では,これまでに得られた皮質下中枢の機能に関する知識を踏まえて,大脳皮質の姿勢制御における役割を窮める必要性が打ち出され,その統御下におかれた姿勢制御に関する研究が進められている2,3).

MedicalFinder

 

www.jstage.jst.go.jp

 

 

 

足趾が動的姿勢制御に果たす役割に関する研究 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/17/3/17_3_199/_pdf

 

 

 

特定の運動に特定の部位がどのように関与するかというには基礎研究にあたります。臨床ではそれら基礎研究を踏まえたうえで全身を体系的に考える必要があります。

 

キネティックチェーンや予測的姿勢制御といった複雑な運動を従来の枠組みの中で捉えようとすると複雑怪奇になってしまいますが、「なぜそうなるのか」という新たな視点を導入すると非常に単純明快に理解することができます。

 

KCやAPAを物理構造から考える

現代医学は薬学から発展したため、局所的にものを考える傾向がありますが、それでは捉えきれない複雑な運動は物理構造から逆算して運動を類推する、生物学や考古学の考え方をする必要があります。

 

たとえば考古学では化石から古代の生き物を再現し、モーターなどを使って実際に動かしてみるという研究をします。カンブリア紀のアノマノカリスがどのように泳いでいたのかの研究が有名です。

 

数理生物学懇談会 ニュースレター - 日本数理生物学会

http://www.jsmb.jp/newsletter/backnumbers/NL-38.pdf

 

 

また最近では、模型で有名なタミヤからムカデの模型が発売されました。

f:id:sinka-body:20180529224100j:plain

realsound.jp

 

中枢制御がなくても運動はできる

ムカデロボットは単純な構造とモーターのみで構成されており一定の動きを繰り返します。脳にあたる制御系は無いにも関わらず、障害物を避けて進むことができます。

これはムカデロボットの足が柔らかい素材でできているため障害物に衝突するほどの力が出ず自然に回避する行動になるからです。

 

このように、構造を工夫するだけで中枢制御がなくとも目的の運動を行うことができます。中枢系の研究が盛んですが、それ以前の大前提として構造の結果としての運動を十分に研究する必要があります。無限にある運動パターンそれぞれに数百ある関節がどのように動くのかをすべて解析しようとすれば何十年もかかりますが、物理構造からとらえればすぐに理解できます。姿勢発達研究会では、筋の張力が全身に波及するシュミレーションが可能な物理演算エンジンを開発中です。

 

 

 

人間の場合、ムカデの足に相当する部分として多関節筋があると私は考えています。多関節筋の張力により運動が全身に波及し、KCやAPAといった複雑な運動が発生すると考えると、臨床に応用できるようになります。これは膝が痛いなら膝、肩が痛いなら肩という古典的なリハビリを脱出するのに必須の考え方です。

 

 

連続講座では物理構造から考える複合運動についてしっかり行います。

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

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