肩に限らず、リハの後は確かに改善する、でも次回来院時にはまたもとの状態に逆戻りしているということが時々起こります。
こういった場合は外傷や中枢などの原因に関わらず、患者教育が大切になってきます。
一般の方がイメージするような間違った肩関節の動きです。
肩甲上腕関節しか考えておらず、肩甲骨は全く動いていません。
このようなイメージのままではどんなに正しい運動療法をしても、アイロン体操でも滑車運動でも、結局損傷部位をさらに痛めつける結果になってしまいます。
CVAなどの方はもちろん、年配の女性などは特別な疾患が無くても肩が亜脱臼している凍結肩予備軍の方が多くいらっしゃいます。
そういった方に「肩はどんな風に動くと思いますか?」と聞いてみると上記のような間違った動きをイメージして動いているようです。当然、肩関上腕リズムは崩れていて、肩甲骨がほとんど動かない、屈曲に伴う回旋も起こらない、という状態ですのでインピジメント症候群が起こり常に肩が重くて痛いということになります。
この状態でいくら理学療法士が徒手で正しい動きを出しても日常の動きが治らないのですぐに元の状態に戻ってしまうということが起こります。
これを予防するには、PT自身が肩関節の動きをきちんと理解して説明できるようになる必要があります。
たとえば、こんな風↓に肩甲骨のみの動きを考えてしまっていると、
肩鎖関節が脱臼してしまっています。
鎖骨が痛い、亜脱臼している、というのは現実的にはかなりよくある症状ですが、整形外科に行ってもシップをもらうだけで全く対応してもらえないので病院や施設勤務の理学療法士さん達にはあまり馴染みがないかもしれません。
肩甲骨の動きを出すときには必ず鎖骨の動きを考えなければいけません。
肩甲骨は胸鎖関節というボールジョイント*1を中心に動くと考える必要があります。
僧帽筋や菱形筋、前鋸筋などの肩甲骨に作用する筋だけ考えても改善しないときは、鎖骨下筋や胸鎖関節の靭帯のモビライゼーションなどを行ってみてください。
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*1:胸鎖関節は二つの平面関節が合わさって自由度の高い関節になっています。