11月に歩行の講習会を行うので、こちらのブログでも歩行に関したことを書いていこうと考えているのですが、ブログで書くとなるとどうしても話題が細切れになるので初心者向けの内容しか書けず、なかなか難しいものですね。
今回も基礎的な内容ですが、これを踏まえないと話が進まない部分ではありますので、ベテラン理学療法士さんも復習の意味でさらっとお読みいただければと思います。
歩行分析は難しい
いろいろな方がいろいろな方法を考案されていて、覚えることも考えることも無限にありますし個々のケースによって重要なポイントも全く変わってきます。
参照サイト
chikachikaflora.hatenablog.com
d.hatena.ne.jp
動作分析、とくに歩行分析は、臨床数年目の新任PTさんにとっては、何から手をつけていいか分からず途方にくれてしまう分野ですし、ベテランPTさんにとっては勉強すればするほど分からないことが増える、ゴールの見えない分野になると思います。
なぜ歩行分析は難しいのか
乱暴に言えば、上肢や体幹は「関節が動きさえすればOK」です。
ですが、歩行は単に股関節や膝が動くだけでは成立しません。
↓こんな風に股関節や膝関節の屈曲をするだけでは、単に足が上がっただけです。
↓下肢の屈曲や伸展を歩行に繋げるには、転倒せずに立位を維持したまま、足裏が地面に設置しなければなりません。(かなりざっくりとした説明ですので厳密には正しくありませんが、だいたいこんなものだと考えてください)
そのためには立脚と遊脚が同時に動かなければならず、かつ体幹のバランスも必要になってきます。
歩行を考えるには、一度にいろいろなことを考えなければいけない
「右肩が動かない」という主訴に関しては、右肩が動けば解決です。ざっくりといってしまえば右肩のことだけ考えればOKです。
しかし、「右足が上がらず、歩けない」という主訴の問題点は
#右脚のROM制限や筋力低下
#左脚のROM制限や筋力低下
#体幹のROM制限や筋力低下
#小脳など中枢の問題
と、少なくとも4種類の仮説を考慮しなければいけません。
しかも、右脚のROM制限と一言に言っても、股関節なのか仙腸関節なのか膝なのか足なのか、さらにどの関節がどのように制限されているのか、その原因は、などと大量の可能性があります。
これらを全て判断できるようにならなければ歩行分析もリハビリも行えない、ということになってしまうと、相当の年月がかかります。
フレームを意識する
もちろん個別の知識を深めていくのはとても重要なポイントですが、まず人体の運動システムの全体像を把握し、個別の知識が全体のどこに位置づけられるかを考えていかなければ細切れの知識を無限に覚え続けなければいけなくなってしまいます。
ベテランPTであれば、これまで勉強したことや臨床で得た知識を自分の中で体系化し、新しい技術に出会ったときにもこれまでの経験から類似の方法を見つけて理解しているのではないでしょうか?
沢山の勉強をしていく中で様々な知識の関連に気づき「これはこういうことだったのか!早く言ってよね!」と思ったことは無いでしょうか?
そのようにベテランPTが長い時間をかけて無意識に構築してきたリハビリ技術のフレームを可視化して公開し、新人PTが能率的に知識を得る手助けをする、というのが最近の私の課題です。
その第一歩として、歩行評価のプロトコルを構築しています。
疾患や原因に関わらず全ての歩行リハに明確な基準を提供できるシンプルで汎用性の高い評価用紙です。
整形、中枢関わらず、どんな患者様にも自信を持って歩行分析と歩行リハが行えるプロトコルに関してはこちらの講習会で行う予定です。
歩行講習会を予定しています。
関東11月上旬、関西12月です。
詳しくはこちら↓
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