足首は立体的で複雑な関節のため、従来の紙の教科書での解説はとても難解になってしまっています。ですが立体をCGや動画で確認すれば実はシンプルな運動をしています。これらを理解することで歩行能力向上や尖足予防などを効果的に行うことができるようになります。
足首は長期臥床や怪我などにより痛みや可動域制限が生じやすい部位です。制限が生じると歩行に影響が出ます。
また、足首は複雑な立体構造をしているため、無理なリハビリによって二次的に障害を起こしてしまうことも多い部位です。
内返し・外返しは危険
まず確認として、教科書に載っているような安易なROMは危険です。
教科書ではこのような運動を、内返し外返しと定義していますが、これは関節運動を全く無視した運動のため無理に行うと怪我や麻痺を悪化させます。
足関節の内返し・外返しはおもに距骨下関節で起こると言われています。距骨下関節のみで内返し外返しを行ったシュミレーションがこちらです。
角度を変えてみてみると、これがありえない動きだということが分かります。
距骨下関節が完全に脱臼しています。このシュミレーションでは人体では不可能なほど大きく動かしているため、距骨と踵骨がめり込んでしまっています(赤い丸部分)
いわゆる足首の捻挫はこのタイプが多いです。
内返し外返しはバランスや歩行に必要な機能ですが、リハビリの方法を間違えると上記のような足部の脱臼を起こしてしまい二次障害が生じます。
足首は立体的に捉える。
まずは正しい運動軸を立体的に捉えるのが安全で効果的なリハビリの第一歩です。
今回は距骨下関節について、立体的に解説していきます。
距骨下関節はその名前の通り、距骨の下部分を作っている関節です。
細かく調べると立方骨などとも関節していますが、まずは距骨と踵骨を結ぶ関節と考えてみましょう。つまり、踵骨を動かすのが距骨下関節です。
距骨下関節の運動軸は床から42度、足の中心線から16度傾いていると言われています。
立体的なので、ちょっと分かりにくいですね。
距骨下関節の運動軸を3D化してみました。
図にするとこんな位置関係です。実際に自分の足で確認してみてください。
このように斜めの運動軸を持つ距骨下関節を動かすと、このようになります。
拡大すると各関節はこのようになっています。
距骨下関節・ショパール関節ともに関節面に沿ってうごいているため、骨がめりこむことはありません。
距骨下関節が動くと、旧来ROMのような単純な内がえし外がえしではなく、円を書くような複合的な運動になります。
立位バランスの低下や、階段昇降や坂道歩行ができない場合など足部の内がえし外がえしを出したい場合には距骨下関節の運動軸をきちんと意識することが大切です。
また足部のアライメントは全身に影響を及ぼすため、膝や股関節拘縮と痛み、円背、嚥下、肩コリなどほとんどすべての疾患において足首の評価とリハビリを行う必要があります。
また、内がえし外がえしは距骨下関節だけでなくショパール関節なども関わってきますので今後解説していきたいと思います。