進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

問い合わせ・講習会申し込みはこちら http://sinka-body.net/

問い合わせ・講習会申し込みは sinka-body.net  まで

進化からリハビリを考える1:セキツイ動物における生存戦略

3Dリハビリテーションの最新情報をお届けします

リハビリテーション理学療法を考えるとき、普通であれば『医学』からスタートします。つまりヒトの病気や障害をどう治すか?というのが出発点です。これは現代医学が感染症対策から発生したことに由来しています。

コレラチフスなどの感染症であれば、病原菌を排除するのがゴールで、健康な状態、正しい状態とは病原菌がない状態、というとてもシンプルな考え方ができます。

 

ですが、リハビリの場面では「何が正しいのか?何が合理的なのか?」というのはいろいろな要素が絡んだ複雑な問題です。その方の特性や周りの人との関係などといった社会的な側面ももちろんですが、身体機能に限定して考えたときにも「正しい姿勢」「正しい立位」「正しい歩行」などは明確に定義されていません。

f:id:sinka-body:20180203143217j:plain

リハビリテーションでは旧来の感染症モデルにおける『正しさ』から一歩進んだ『正しさ』『合理性』を考える必要があります。ゴールについてしっかり考えることがリハビリの結果を左右するということは前回の記事で書きました。 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

安全で合理的な運動の定義

リハビリにおける『安全で合理的な運動』とは?を考えるには、そもそもヒトは生物全体からみたときにどのような生きものなのか?について理解する必要があります。

f:id:sinka-body:20180203145841j:plain

まずは地球上の生命の進化について、駆け足で復習です。

 

生物の進化から考えるリハビリテーション

原始生物の発生

現在では生物は海底で生まれたと考えられています。その時代に地球上に酸素は無く、生物は硫黄でエネルギーを作っていました。余談ですが去年は哺乳類の硫黄呼吸についての発見がされました。ロマンがありますね。

 地球上にほとんど酸素が存在しなかった約40億年前、原始的生物は硫黄呼吸していたと考えられている。今回の研究で、生物が酸素呼吸をするようになった後も、硫黄を利用してエネルギーを生み出し続けていることが裏付けられたという。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201711/20171108_13006.html

原始的な生物は自分から運動しません。ただ海水の中を浮いているだけの単細胞です。それが多細胞になり様々な進化を経て運動能力を獲得しました。

ですがそれは体の回りに生えた線毛を動かしたり、細胞質の粘性を変えるゾルゲル運動であったりと、あまり能率的な運動ではありませんでした。また余談ですが、線毛は気管などで、ゾルゲル運動は白血球や遊走細胞でヒトでも観察することができます。硫黄呼吸を40億年も使っていたりと、一度作ったシステムはとことん使い倒すのが地球生物の流儀です。

自分で動くことのできる生物はエサを探して移動することができる、捕食されそうになったら逃げることができるなど生きる上で有利です。生物は様々な方法で移動能力を獲得しようと模索しはじめました。

外骨格のイノベーション

 カンブリア紀の生物として有名なアノマロカリスは高い移動能力を持っていたため繁栄できたのではないかといわれています。

高い移動能力を求めた古代生物は外骨格というイノベーションを起こしました。クワガタやカブトムシのような堅い殻で覆われた生きものです。外骨格は身体の軽量化とすばやい運動を可能にしました。しかし壊れやすく寿命が短いこと、循環の関係で大きく成長できないという欠点があります。

 

怪我が多く寿命が短い昆虫

動かないことで繁栄したのが植物で、より早く、より機敏に動くことで多くのエサを獲得する、車でたとえるなら燃費は悪いが高性能なスポーツカーのような進化をしたのが昆虫といえます。

図にするとこのようなイメージ。

f:id:sinka-body:20180203152857j:plain

 

移動しない植物は数百年と長い年月を生きることができます。

移動能力の高い昆虫はその分消耗が激しく、寿命は長くても数年です。また、クワガタやザリガニの手足がもげているのを見たことのある人もいると思います。昆虫の関節は脆いので外力で簡単に傷つきます。(その分再生能力も高いのですが。)

余談:網膜と寿命の関係

運動能力とは少し違いますが、昆虫の目についても同じような戦略で進化しています。多くの昆虫は人間にはみることのできない紫外線を見ることができます。紫外線は網膜を焼いてしまうため紫外線を見ることの出来る昆虫はいずれ失明します。ですが昆虫は失明する前に寿命がくるので不便を感じません。

人間の場合は80年近い期間、網膜を保護しなければいけないので、水晶体を作ってわざと紫外線をカットしています。

 

寿命と移動能力の相関関係を超える

原生生物→植物→昆虫 という流れの中ではまだ、寿命と移動能力のどちらかしか獲得できませんでした。寿命が長く移動能力も高い生物が現れるにはセキツイ動物の出現を待たなくてはなりません。

 

リハビリの話をしているはずなのに、なかなかヒトの話までたどり着けませんが(汗)次回はセキツイ動物の能力について書いていきます。

 

現在、我々が目にする生き物の大半はヒトです。ヒト以外ではペットの犬や猫、スーパーで売っている牛や豚、野生のカラスやスズメ、ヘビやトカゲなど、ほとんど全てセキツイ動物です。なのでセキツイ動物があたりまえのように感じてしまいますが、実はセキツイ動物は運動能力と寿命の長さに特化した生物です。

 

 

今回は生物の進化について、とくにリハビリに関係する運動機能のみをピックアップして駆け足で解説しています。かなりダイジェストにしているので不正確な部分もあります。

詳しくは講習会でしっかりお話する予定です。

 

進化とリハビリ第一弾

講習会についてはこちらからご覧下さい。

sinka-body.hatenablog.com

 

 その他の講習会一覧

7月にCVAを感覚的に理解するボディワークセミナー開催します。

sinka-body.hatenablog.com

/* gifに開始ボタン */

参加受付中講習会一覧はこちら

/* gifに開始ボタンここまで */