進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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関節の構造についての間違ったイメージ

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教科書的には、関節には球関節や蝶番関節などの種類があるとされています。

確かに関節にはいろいろな種類があります。ですがこれはあくまで人体の関節の名称なのに、日常で目にする「球関節」や「蝶番」の構造と混同してしまうと、四頭筋による膝固定、筋の収縮による関節固定などの間違った発想になってしまいます。

 

 

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球体関節人形やプラモデルに使われる「球関節」やドアなどに使われる「蝶番」などの構造は人体には存在しません。

 

金属やプラスチックなど丈夫な素材を使い、基本的に静止を想定し油圧など外力でのみ運動する工学製品の関節はほぼ全て凸と凹を組み合わせた形をしています。そのためエンジンなど動力機構がなくても骨構造のみで運動方向がきまります。

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しかし、ヒトの関節はどうでしょうか?

凸と凹がきっちりと組み合わさるのは肘関節のみ、それも完全伸展時の特殊な状況だけです。その他の関節は全て、形状として凸と凹の傾向はあってもきっちりと組み合わさることはありません。

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肘や膝は一方向にのみしか運動しないから蝶番関節などと言われますが、

関節の骨構造は運動方向を規定しません。

内骨格生物の場合、全ての関節は360度自由に動くことができる自由度最大の3軸関節と言えます。

 

 

このように極端に不安定な骨構造をしているだけでなく関節包や軟骨などのサポートにより可能な限り摩擦が少なくなるように設計されています。

ドアやタイヤや傘などの日常生活で目にする工業的な製品は通常「動かないこと」を基本に考えられています。いつもは動かないが必要な時のみ動かすことができるというのが人工物の基本的な発想です。ですが人体は「動くこと」が基本のデザインをしているため、固定が非常に苦手という特殊な構造のため、根本から発想を変える必要があります。

 

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このような「人工物と生物の根本的な発想の違い」を踏まえずに解剖や運動学を学んでも根本的なところで誤解をしてしまうことがあります。

 

たとえば、膝関節の固定はどのように行うでしょうか?

一般的に膝関節は四頭筋で固定すると言われていますがそれは可能でしょうか?

 

四頭筋やハムストリングスは収縮により、関節を上から押しつける作用をします。

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ボールを二つ用意して、上から押してみてください。ぐらぐらするので、固定するには相当力を入れなければいけません。また、完全に垂直に重なっていないとすぐに崩れます。斜めの位置で固定はできません。

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四頭筋やハムストリングスなど、膝周辺の筋をいくら収縮させても膝は安定せずむしろ不安定になります。

 

実際に自分の体でためしてみる場合、膝だと怪我をしやすいので上肢でテストするのが安全です。

肩関節の筋力テストをしてみます。ぐっと力を入れた状態だと、感覚的には筋力強くなったような感じがします。ですが、実際誰かに押してもらうと簡単に腕が下がってしまいます。全身に力を入れれば入れるほど筋出力は低下します。

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たしかに筋力が極端に弱ければ運動や固定ができませんが、筋力は一般にイメージされるほど運動や固定に関与していません。膝折れなど関節固定ができない場合は筋力増強よりも筋の位置関係や骨の変位、あるいは筋力増強に捕らわれるあまり筋収縮による固定を行おうとしてしまい逆効果になっていないかを考える必要があります。

 

 

 

 

最近、このブログを見て興味を持ってお問い合わせいただくことが増えてうれしく思っています。問い合わせの中で多いのが「原理は分かるがどう治療に生かしていいかまでは分からない」というものです。現在の医学では人工物の発想を生体にも応用するものが多く、人工物とは違う生体の構造についてはなかなか理解が難しく、また全体を全て理解しないと治療に応用できないという難点があり、講習会などでも試行錯誤してきました。

3Dリハビリはきちんと学べば効果が期待できるがそこに至るまでが大変というのが欠点でしたが、最近、「軟部組織の固定作用を人工的に再現する」という着想を得たため特別な知識が無くても治療効果をある程度再現できるようになりました。

 

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側屈が改善され、歩幅も大幅に改善し安定して歩行できるようになりました。

いずれも、巻くだけ、動いただけで数分間歩行しただけでの変化です。

 

近いうちにセミナーや勉強会を開催したいと考えています。

詳しくはこちらのブログやメルマガをご覧ください。

 

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