たとえば、脳卒中と骨折では全く違うリハビリだと考えてしまっていませんか?
そのような考え方を心理学では『原因追求指向』と言います。
どこが病気なのかという原因を考えるのが現代医学の基本ですが、実はこの考え方には大きな落とし穴があります。
原因に注目する考え方は各疾患に対しキメ細かい対応ができるというメリットがある反面、デメリットとして片麻痺のリハビリ、パーキンソン病のリハビリ、ハンチントン病のリハビリ、ピック病のリハビリ、などと、全ての疾患に対応する手技をそれぞれ覚えなく低はいけません。
臨床では様々な患者様に出会いますから、この方式ではどれだけ勉強しても「どんな人に対しても自信を持ってリハビリできる!」という状態になるのは不可能に近くなります。
客観的指標が得にくい現代医学
たとえば、中枢疾患と整形疾患は全く違うものと考えられていれば、中枢と整形に共通の客観的エビデンスは得られません。
根拠のある医療が求められて久しいですが、実は「どこが病気か?」という原因追求指向の考え方は客観的なエビデンスを得にくい構造になっています。これはリハビリだけでなく現在の医学全体の問題で、専門分野には詳しいがそれ以外は全く知らないメディカルスタッフが養成されてしまい、問題の本質を見失うことが社会問題になっています。
「治せる!」自信と根拠を持つために
そのため、現代のセラピストは原因追究志向型の考え方と同時に、問題解決指向型の考え方を身につける必要があります。
問題解決指向型リハビリでは「どこが病気か?」という原因ではなく「どこにつまづいたか?」という、現在の問題点に注目します。
そのため、脳卒中とパーキンソン病、整形疾患と中枢疾患、などの原因に捕らわれず全ての疾患に対する最適な治療法を選択することが可能です。
新人セラピストの自信に
経験の浅い新人セラピストにとって、毎日の臨床は常に疑問と不安でいっぱいです。勉強しなければいけないことは分かっても、何から手をつけていいかすら分からない状態ではないでしょうか。
そんな時にはまず、問題解決指向型の体系を学び、どんな疾患にもしっかりと対応できるという自信をつけて欲しいと思います。
ベテランセラピストのステップアップに
様々な手技を学んできたベテランセラピストは、個々の手技を極めるとともに、ぜひリハビリ全体を俯瞰する目線を手に入れて欲しいと思います。どこが問題かという目線で臨床を見ると「いつどのタイミングでどの手技を使うべきか」がクリアに分かり、驚くほどの効果が出せるようになります。
私は動画で「30秒で可動域を変える」「10秒で手指巧緻性を上げる」などの手技を公開していますが、これらは別に魔法や詐欺ではなく、ただ最適なタイミングで最適な手技を提供する見極め力があれば誰でも再現可能です。
進化と物理から考える人体デザイン
では、『原因』ではなく『問題』を評価し改善していくための指標としては何が適切でしょうか?
問題解決指向の特徴は、明快であることです。
指標も明快で明確なものを用いることでさらに合理的な道筋を作ることができます。
だれもが納得できる具体的なエビデンスの一つとして、物理学があります。
セラピストの中には物理が苦手な人もいるでしょうが(私も万年赤点でした)物は上から下に落ちる、重い物は動きにくい、氷の上はつるつる滑る、などの物理法則は地球上に存在する限り全てのものに共通です。
普通に生活してれば誰でも感覚で分かる簡単な物理だけでリハビリを説明することが可能です。
そのように、医学の枠組みをいったん外して考えることで、これまで非常に複雑に考えられてきた手技や知識をシンプルで明快な形に組みかえることが可能になりますので、今後ご紹介していきたいと思います。
参考過去記事
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