進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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体幹と重力の関係から円背の治し方を考える

側湾や円背、姿勢の崩れ、座位バランスの不安定、などの体幹の崩れは無理に徒手矯正しても効果はありません。それだけでなく、体幹のバランスが悪い方は廃用や骨粗鬆症などの可能性が高く、無理な他動運動によって骨折や痛みなどのリスクが伴います。

 

ですので、体幹の調整の時には姿勢の崩れの根本の原因を考える必要があります。

体幹を調整する手技は主に中枢系疾患向けとして様々な理論がありますが今回は重力とベクトルという古典物理に基づいた一番基本の考え方を紹介します。

 

空き缶のつぶし方

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売っているときのようなきれいにまっすぐな空き缶を潰すのには力が要りますが、少し曲げてから潰すと簡単に潰れます。これは軸がずれることにより回転モーメントが生じるからです。

体幹のつぶれ方

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同様に、人間の体もまっすぐであれば姿勢を維持できますが、少しだけ曲がっているとさらに曲がる方向に動いてしまいます。つまり、はじめの時点でどちらに傾いていたかによって、同じ力が加わっているのに全く逆の方向に動くことになります。これが姿勢が崩れる基本の考え方です。

はじめはほんの数ミリの屈曲が時間が経つにつれどんどんと増して行き自分では修正できなくなると円背や座位バランスの低下が起こります。

なぜ姿勢は屈曲方向に崩れるのか?

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姿勢が崩れるというとき、ほぼ全員が左図のように円背になります。ごく一部の例外を除いて、左のようにそっくり返ることはまずありません。

空き缶つぶしの法則のように、はじめに少し曲がった方向にさらに曲がるのであれば、偶然伸展位になったときに重力がかかれば左図のようにそっくり返る人がいてもいいはずなのに、なぜでしょう。

 

大事なのは小さな単関節筋

では、本来まっすぐだった脊柱をほんの少し屈曲させる筋肉は何でしょう。

筋肉というと大殿筋や僧坊筋などの大きな多関節筋がメジャーですが、これら目立つ筋肉ははじめの方向性を強化する役割です。

一番初めのほんの少しの屈伸を方向付けるのは深部にある小さくて目立たない筋肉です。これら目立たない筋肉は運動の補助としか考えられないことが多いですが実は全ての方向性を決定付ける重要な作用を担っています。

 

上肢、下肢などの部位別や作用別に筋を覚えることはあっても、単関節筋・多関節筋という分け方を意識した方は少ないのではないでしょうか。

実はこれらの深部単関節筋はかなり特徴的な配置をされていて、ほとんどの筋に拮抗筋が存在しません。つまり、脊損時の肘のような、曲がったら曲がりっぱなしで伸展しないという全く実用性のなさそうな作用をしています。

単関節筋の作用

いきなり全ての単関節筋の作用を考えるのは大変なので、まずは脊柱に付着する3つの筋だけ考えてみます。

脊柱と脊柱を結ぶ起立筋を除けば、脊柱に付着する深部筋は、後頭下筋、斜角筋、後鋸筋、腰方形筋の4つだけになります。

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これらが収縮すると、胸椎が屈曲したいわゆる円背姿勢になります。

 

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まとめ

姿勢の崩れのほぼ100%が屈曲位になる理由は、脊柱と頭蓋や肋骨を結ぶ深部筋が屈曲位になるよう配置されているから、という答えになります。

 

つまり、姿勢を矯正しようと思ったら大きな筋だけ修正しても根本の「はじめの少しの歪み」が治っていないので効果がありません。この3つの筋に対してアプローチして「はじめの少しの歪み」を修正しないと、一瞬まっすぐになっても翌日には元通りということになってしまいます。

 

では、深部筋はどのように修正していけばいいのでしょうか。

深部筋は体の深部にあるのでIDストレッチは効きません。非常に動きが少ない部分のため、通常のストレッチでは代償動作が入ってしまい、動かせません。体の奥過ぎるので、徒手で持続的伸張を行うのにも限界があります。ハリ治療すらも深部筋には届かないという話も聞きます。

つまり、他動や徒手でどうにかなる相手ではなく、しかも目立たない筋のため見落とされがちということになります。

拘束性肺疾患や胸郭出口症候群など、斜角筋の過緊張に四苦八苦したことはないでしょうか。ためしに手ごろな相手の斜角筋を触って緩めてみてください。かなり苦労するはずです。

次回はそんな深部筋をどのように正常に近づけるかを、脊柱の進化から書いていきたいと思います。

 

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