進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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肩甲上腕リズムと皮膚や筋膜などの軟部組織の関係について

前回の記事では膝の痛みや変形は膝以外の軟部組織の異常が原因であるため膝だけでなく全身を評価する必要があるということを書きました。

 

今回は肩関節についてです。

 

肩関節は肩甲上腕関節と肩甲骨が協調して動く肩甲上腕リズムがよく知られています。このリズムが乱れると肩関節の痛みや異常に繋がります。しかしこれは骨や筋だけを見ているとなかなかイメージが難しい部分です。

 

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骨格標本であれば、肩甲上腕関節だけを動かすことは容易です。

そのため、少しくらい肩甲骨や体幹が動かなくても肩甲上腕関節のみで肩が動くのではないか?と思ってしまいがちですし、実際に(怪我のリスクを考慮しなければ)動けてしまいます。

 

 

しかし、上記の動きを皮膚も含めてシュミレーションすると、とんでもないことになっています。

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腕が捻じり切れてしまっていますね。

肩甲骨が固まってしまうと、皮膚や血管、神経、靭帯などの軟部組織にこれだけの負担がかかります。肩関節周囲の靭帯や腱が損傷しやすいのもこのためです。肩が悪いのではなく、全身が悪いため肩に過剰に負担がかかっている状態です。

 

肩関節のリハビリでは肩甲上腕関節だけでなく肩甲骨、さらには体幹や下肢まで含めて評価治療する必要があることがイメージできると思います。

 

 

 

 

 

軟部組織が運動に及ぼす影響と治療について

たとえば膝の痛みや可動域制限がある場合は膝の関節や靭帯が損傷していますが、だからといって膝の関節や靭帯や筋などを治療すればよいわけではありません。膝の病変がある場合に膝周辺の軟部組織を無理に動かすと悪化する可能性もあるので注意が必要です。

 

人間の構成物は筋肉、靭帯、血管、脂肪、皮膚など、骨を除く全てが柔らかく動く軟部組織です。そのため、一か所が動くと全身が動きます。この弾力が運動に非常に重要です。

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左が正常な軟部組織で左は硬化してしまった組織です。

左の状態だと膝の痛みや可動域制限が発生します。何が違うでしょうか。

 

同じ動画で膝の軟部組織だけを抽出してみました。

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正常な軟部組織は骨運動に合わせて全身が緩やかに変形します。

硬化した軟部組織は変形しないため、一番力がかかる部分だけが大きく変形します。

 

模式図にするとこのようになります。

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膝の部分の軟部組織に注目してください。

正常な場合は少ししか変形していませんが、異常な場合は大きく変形していることが分かります。

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つまり、軟部組織が硬化していまうと

 

  • 全身の柔軟性が低下しているが膝周辺の軟部組織(靭帯や腱、筋膜、血管、皮膚など)の柔軟性だけは維持している場合

→膝周辺の軟部組織のみが過剰に引き伸ばされて断裂などの損傷に至り痛み、変形、低緊張が生じる

 

 

  • 全身の柔軟性が低下していてかつ膝周辺の軟部組織の柔軟性も低下している場合

→可動域制限が生じる

 

という結果になります。

いずれにせよ痛みや変形など『結果』が現れている部分ではなく、硬くなってしまっている大腿や下腿や体幹などの軟部組織を評価治療する必要があります。まずはこの動画のような、運動に合わせて全身の軟部組織が変化するというイメージを作ってください。

 

 

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歩行時の筋収縮以外の作用について

筋収縮のみで歩行を行おうとすると非常に複雑な中枢制御が必要になりますが、慣性や重力を考慮すれば「股関節をリズミカルに屈伸するだけ」で状況に応じた自由自在な歩行を行うことができることが知られています。

股関節を一定の感覚で屈伸するだけで、膝や足関節も適切な運動を行い、また段差や階段も自由に上ることができます。

 

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まず、適切な関節を設定したロボットを坂道に置くと、動力が無くても歩きます。これは受動歩行と呼ばれています。


【A11】試作4号機(Bluebiped) トレッドミル上での歩行

【歩行×ロボット】単純な原理こそ、多くのことに応用できる – ロボクリ ‐ ロボットクリエイターズマガジン

 

このロボットは骨と関節しかなく、脳はもちろん筋肉もありません。

 

 

 

受動歩行ロボットは動力が無いので坂道しか歩けませんでしたが、最小限の動力を与えれば平地でも歩行することができます。

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このシュミレーションでは立脚期に股関節の進展を行っています。それ以外の筋収縮は発生していませんが、遊脚期には股関節の伸展が発生し、また膝関節も適切な屈曲が発生しています。

 

つまり歩行時には立脚期の股関節伸展さえ発生すれば、その他の筋活動が無くても自動的に歩行運動が発生します。

 

筋電図をとると、歩行時に様々な筋が適切なタイミングで筋電を発していることが分かります。

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ですがこれはあくまで「筋電が発生している」だけであり、必ずしも随意性収縮をしているとは限りません。正常歩行ではほとんどの筋は随意収縮を行っていないと考えられます。

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立脚期の股関節伸展のみを筋収縮によって発生させれば、あとは慣性の法則に従って自動的に歩行が発生します。段差や階段を昇降したり障害物を避けたりすることも可能です。

 

 

つまり、歩行リハビリでは「いかに立脚期をつくるか?」が最重要であり立脚期が発生しさえすれば全ての問題が解決すると言えます。

 

 

運動時における細胞膜の変形をシュミレーションしました。

人間の骨を除くすべての構成物は軟体、つまり弾力があり柔らかい素材です。

運動時には、筋、筋膜、腹膜、内臓、皮膚、脂肪、皮膚などのような軟性の物質に加わる力を考慮する必要があります。生物は筋肉の随意収縮だけで動くとイメージしがちですが、実際にシュミレーションしてみると軟体の作用がメインで、筋の随意収縮は副次的な作用しか行っていないことが分かります。

よって、リハビリでは筋の収縮だけでなく皮膚や筋膜などの軟体をどう治療していくかが大きなポイントとなります。

 

 

softbody演算を利用して筋や皮膚などの軟性物質の挙動のシュミレーションを行い、これらが歩行などの運動時に骨格にどのような力を及ぼしているのかを考えてゆきたいと思います。

 

軟性物質は運動が全身に波及します。

 

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人間の体も同様に、たとえば肩関節屈曲をしたら肩周囲だけでなく体幹や下肢など全身に力が伝わります。この全身の伝わる力が筋力や随意性を保つために非常に重要です。

今回はシンプルな球のシュミレーションを簡単にご紹介しました。今後は人間の皮膚、筋膜、内臓などが運動にどう作用しているか、それをどう治療すればよいのかを書いてゆきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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技術の高い先輩や先生が手技を行うと効果があるのに、自分が同じように行っても同じ効果が出せない、という体験をしたことはありませんか?

 

それはセラピスト自身のボディイメージの崩れが原因かもしれません。

 

歩行に問題のある方がいたとして、ではどのような歩行を目指すべきでしょうか?

「最も理想的な歩行」というゴールがきちんと理解できていて初めて、目の前の患者さんに必要な要素を見つけることができます。

 

 

 

※本勉強会は2020年 3月末に開催予定でしたが、コロナ予防のため4月以降に延期します。

日程は決まり次第、メルマガにてお送りします。

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では、「ヒトにとって最も合理的かつ理想的な歩行」という人類の共通目標はどのようなものでしょうか。

 

 

 

 

たとえば、歩行時に骨盤回旋することは広く知られていますが、どの時期に何度回旋するのが「正しい」でしょうか。

教科書に書かれている筋活動や可動域はあくまで平均でしかありません。全員がプロスポーツ選手であればともかく、一般の人の平均が「最高に正しい運動」であるとは考えにくく、そもそも体格差がある中で活動電位や可動域などの絶対値の平均に意味はありません。体格差を加味して修正した数値を出すべきです。

また、臨床ではリアルタイムかつ正確な可動域や筋活動を計測することは不可能です。上下肢の可動域は多少計測できますが、もっとも重要な要素である脊柱運動などほとんど外側からは観測できません。

そもそも、日常生活では刻一刻と変化する条件の中で臨機応変に運動することが求められています。歩行時の「正しい」骨盤回旋角度は、本人の身体状態、自重、筋力、路面の状態、運動の目的など様々な条件で常に変化してゆきます。医学における「正しさ=正常」とは唯一絶対の固定された数値ではなく「変化する条件にきちんと対応できること」そのものです。

 

 

そう考えてゆくと、数値で「理想的で合理的な運動」を捉えることはできません。(理論的には可能ですが臨床で行うのは難しいです)

ですが「理想的で合理的な運動」がイメージできないと治療ができなくなってしまいます。

 

では「理想的で合理的な運動」はどのように捉えればよいでしょうか。

 

 

 

 

たとえば私たちは一輪車に乗っている人をみると「すごい」と思います。足を引きずっている人を見ると「大変そうだ」と思います。

人は難しく考えなくても感覚的に「安全で合理的な運動」と「危険で不合理な運動」を見分けることができます。この素朴な感覚の精度を上げてゆくのがリハビリ理論であり手技と言えます。

 

 

私たちは、なんとなく、感覚的に、「よいうごき」と「大変そうなうごき」を感じることができます。この感覚を磨くことが治療手技の効果を高める第一歩です。

人には無意識に他人の動きを再現する、ミラーニューロンの作用があります。

患者さんと向き合うと、セラピスト自身の体が無意識に患者さんの姿勢を真似しようとする反応が起こり、「この患者さんは腰が痛くなりそうな姿勢だな」「歩行時に足関節リズムが崩れているだろうな」など、自分の体の反応として分かります。

 

ミラーニューロンの作用を十分に活用するためには、まずセラピスト自身がきちんと「理想的で合理的な運動」を自分自身の体で行うことができるようにならなければいけません。目指すべきゴールが低いと導き出される結果も低くなります。

肘屈曲は肘屈筋群の収縮、とだけ思っているとダンベル運動のような不自然な運動までしか出せません。より日常に近い、外界との関わりの中でおこなわれる張力による作用をまず自分の体で実感することで、より高いレベルの運動を引き出すことができるようになります。

 

私はこれまでの臨床や勉強会開催を通じて、どのように伝えれば全員がよい結果を出せるのか、結果のばらつきはなぜ出てしまうのか試行錯誤を行い、ミラーニューロン作用が「同じ手技を同じように行っているのに初学者と熟練者で効果が全く違う」という現象の正体だという結論に至りました。

セラピスト自身の体に目を向けることで、手技の精度が格段にあがります。

 

姿勢発達研究会では現在おおむね月1回、「治す」に特化したセラピストのためのボディワークを行っています。

 

 

開催情報

2020年3月28日(土)10時から12時

参加費 3500円

場所  セシオン杉並

人数 最大5人くらい

 

 

申し込みはこちら

http://sinka-body.net/kousyuu.html

 

 

 

 

 

 

 

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