どこまで治る?誰に使える?3D拘縮リハビリの適応と禁忌
3D拘縮リハ手技の適応と禁忌についてです。
3D拘縮リハの理論と方法についてはこちら。
1 どこまで改善が見込めるか
理論についてはあとで解説していきますが、『3D拘縮リハ』を使用すると、理論上は疾患や原因問わず、ほぼ全ての関節可動域制限を解消できます。理論上は。(ここ大事!)
ですが、拘縮が重度であればあるほど改善までに時間がかかります。
たとえば極端な例を出すと、中枢性疾患異常筋緊張があり長期臥床の方で、毎日10時間つきっきりで3D拘縮リハを行えば手足をまっすぐに伸ばすことが可能な状態であると仮定してみます。ですが、この場合拘縮の原因である異常筋緊張は温存しており、翌日にはまた手足が曲がった状態に戻ってしまっています。そのため、もしもこの方の拘縮を完全に治そうと思ったら毎日継続して10時間のリハを行う必要があります。
しかも、3D拘縮リハはあくまで関節可動域制限の解消に効果があるだけなので、筋や神経が完全に死滅している状態であれば随意運動を出すことは不可能です。つまり、この方に毎日10時間リハを行ったとしても一瞬だけ過緊張が緩和し手足が伸びる効果しか期待できません。
よってこの方に一日10時間のリハビリを行うより、その10時間をご本人にとって有意義なことに使っていただくほうがよいと考えられます。
つまり、かけた時間に対しての利益とコストを考え、より利益の多い選択をするということになります。
拘縮リハに限らず3Dリハ全般に言えることとして、適応を見極めれば非常に高い効果を見込めますが、なんでもかんでも治せる魔法ではありません。(これは全てのリハビリ手技にあてはまるあたりまえのことですね。)
2 適応
3D拘縮リハは筋繊維の構造と筋の起始停止、筋の生理学的作用の3つを利用します。
よって、脳疾患、整形疾患、外傷などの病名や疾患を問わず効果が見込めることが特徴です。
また、筋短縮、軟部組織変性、靭帯損傷、骨変形など、拘縮の原因がどのようなものでも区別無く適応可能です。(理由は後述します。)
3 禁忌
- 3D拘縮リハは負荷の高い運動を行いませんが、循環器疾患や起立性低血圧、長期臥床などの方には運動負荷を慎重に見極める必要があります。
- 骨粗しょう症の方には特に低負荷で行う必要があります。
- 前述の通り、多大な時間をかければ改善するがコストとベネフィットが見合わない場合があります。
- 先天的な変形、後天的な変形は適応ですが、腱伸張術や関節置換などの外科的な変形を行った場合は適応外となる場合があります。
- 筋組織の大規模な変性、起始停止の異常がある場合は適応外です(このような大規模な変性がある場合、生命機能に重大な欠損があり存命していない可能性が高いので臨床では考慮しなくてもよいと思います)
4 注意事項
- 力任せに曲げようとするのは危険です。
- 愛護的であっても持続的伸張は筋を損傷します。
- 正しく行えば、セラピストは動きの補助を行うだけで自然に動いてきます。
つまり、3D拘縮リハは基本的には疾患や病名問わず使えます。
ですが、体力が落ちているなどで運動自体が危険な場合は行わないでください。痛みや違和感がある場合も無理に行わないでください。