体幹の評価が苦手、正直体幹の役割がよく分からない、というPTさんのために、いかに体幹が重要か解説してみました。
体幹が動かなければ股関節も膝も動かない
理由はいろいろと説明できるのですが、まずは単純明快な図形的な説明をしてみます。
たとえば160センチの人なら、股関節、骨盤、鎖骨までの長さがだいたい以下の図のくらいになります。
それぞれの関節が30度動いたとき、レバーアームの長さの半分が移動距離になります。これは中学校の数学でやった三角関数の問題です。なつかしいですね。
股関節を30度外転すると足底は40センチ外転することになります。
これが腰椎5番を30度外転させると、レバーアームが20センチ長くなるので足底も+10センチ多く動かすことができます。
今度は胸椎1番から外転させてみました。
足底は+25センチ多く動かすことができます。
つまり、レバーアームが長いほど有利な運動ができる、という単純な理屈です。
胸椎自体はほんの数ミリしか動かないのでBICONなどの測定では誤差とされてしまいますが、胸椎のたった1ミリの動きが足底では1m近い運動になるので、体幹の動きは本来は最も重要視されるべきです。
さらにこれだけではなく、股関節の直線的な運動に比べ、脊柱は軸をずらした回旋という動きを使うため、非常に少ない力で強力な出力が可能です。
関節の形状と運動の関係はこちらの記事で解説しました。
歩行分析は「骨盤」だけ考えればOK
ですので、ものすごく単純に言ってしまえば歩行の評価と治療は骨盤だけを考えておけば結果的に全体を評価・治療することができます。歩行評価が苦手な理学療法士さんはまずは骨盤と歩行について勉強するといいですよ。
参考記事