進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

問い合わせ・講習会申し込みはこちら http://sinka-body.net/

問い合わせ・講習会申し込みは sinka-body.net  まで

100年に一度の天才の凄さは『普通』であること。シルヴィ・ギエムの秘密に迫る 第3回

前回、前々回のまとめ

  • 股関節だけで180度開脚は不可能
  • 一見まっすぐに見えるギエムの体幹は大きく動いている 

つまり、ギエムのシックスオクロックは股関節だけでなく体幹の運動に秘密がありそうです。

 

 

 

ギエムの股関節はどうなっている?

 

股関節の形状は人によって大きな個人差があります。誰にも真似できないポーズのできるギエムの股関節はどんな形状をしているのでしょうか。

f:id:sinka-body:20170413220544p:plain

 

骨格に無理のないポーズの予想

また、長期間大きな怪我もなく現役を続けたギエムは骨格に無理のないポーズをしていると予想されます。そうなると、ギエムのポーズは関節の可動域に無理のかからない範囲での運動ではないか?という仮説が立ちます。

ですが、無理のない股関節外転は45度までと言われています。

180度開脚をするには股関節をさらに90度以上 外転しなければいけないのですが、そんなことは本当に可能なのでしょうか?それとも、ギエムは一般の人では到底耐えられない無理なポーズをしているにも関わらず怪我をしなほど強靭な軟骨や靭帯をもっているのでしょうか?

 

ということで、ここまでの考察を踏まえてギエムの姿勢を骨格モデルで再現してみました。

f:id:sinka-body:20170413223540j:plain

使用した指標

ASIS→骨盤の傾斜 内転筋→骨盤の回旋と前後傾 第10肋骨→腰椎の回旋 胸骨→胸椎の回旋 足底→股関節の回旋 膝と肩の位置関係(青線部)

 

f:id:sinka-body:20170413224718j:plain

今回は主に前額面での分析であり、まだ考察しきれていない部分はありますが、大まかにこのような姿勢になっていると予想されます。一見、関節にとても無理がかかっていそうなアクロバティックな姿勢です。

 

 100年に一度の天才は股関節も特殊な形をしている?

では、このポーズの股関節はどうなっているか見てみましょう。

100年に一度の天才といわれたギエムのポーズを、どこにでもいるような一般人の骨格で再現したら、きっととてもむちゃくちゃな姿勢になるに違いありません!

 

というわけでこちらが平均的な股関節の形状でシックスオクロックを再現した骨格モデルの股関節部分の拡大図です。

f:id:sinka-body:20170414122727j:plain

あれ?

確かにすごい角度です。ですが、大腿骨頭は臼蓋にきちんと嵌っています。

もっとこういうの↓を想像していたのですが。

f:id:sinka-body:20170414123310j:plain

f:id:sinka-body:20170414121233j:plain

ギエムのシックスオクロックは世界中の誰にも真似できない姿勢であるにも関わらず、骨と靭帯を考えた場合には股関節に負担のかからない、安全な肢位だという結果になりました。

 

ギエムのすごさは『普通』であること

以上の分析から、ごく一般的な股関節の形状が実は、ギエムのシックスオクロックを行うために最も合理的であるという結果が導き出されました。おそらくギエムの股関節は頚体角130度、前捩角30度のごくありきたりな形に近いと予想されます。

つまり、シックスオクロックは骨格的には誰でも可能なポーズです。骨格的には。

ですがギエムのシックスオクロックを完璧にコピーした人は(おそらく)いません。これはどういうことでしょうか。

 

 

次回はギエムのすごさを支える骨盤と平衡感覚について考えていきたいと思います。

 

 

 

これまでのギエムシリーズ

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

股関節の可動域や安全なストレッチについてはこちら。

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

講習会もやっています。

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

どこまで治る?誰に使える?3D拘縮リハビリの適応と禁忌

3D拘縮リハ手技の適応と禁忌についてです。

3D拘縮リハの理論と方法についてはこちら。

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

1 どこまで改善が見込めるか

理論についてはあとで解説していきますが、『3D拘縮リハ』を使用すると、理論上は疾患や原因問わず、ほぼ全ての関節可動域制限を解消できます。理論上は。(ここ大事!)

ですが、拘縮が重度であればあるほど改善までに時間がかかります。

 

たとえば極端な例を出すと、中枢性疾患異常筋緊張があり長期臥床の方で、毎日10時間つきっきりで3D拘縮リハを行えば手足をまっすぐに伸ばすことが可能な状態であると仮定してみます。ですが、この場合拘縮の原因である異常筋緊張は温存しており、翌日にはまた手足が曲がった状態に戻ってしまっています。そのため、もしもこの方の拘縮を完全に治そうと思ったら毎日継続して10時間のリハを行う必要があります。

しかも、3D拘縮リハはあくまで関節可動域制限の解消に効果があるだけなので、筋や神経が完全に死滅している状態であれば随意運動を出すことは不可能です。つまり、この方に毎日10時間リハを行ったとしても一瞬だけ過緊張が緩和し手足が伸びる効果しか期待できません。

よってこの方に一日10時間のリハビリを行うより、その10時間をご本人にとって有意義なことに使っていただくほうがよいと考えられます。

 

つまり、かけた時間に対しての利益とコストを考え、より利益の多い選択をするということになります。

 

拘縮リハに限らず3Dリハ全般に言えることとして、適応を見極めれば非常に高い効果を見込めますが、なんでもかんでも治せる魔法ではありません。(これは全てのリハビリ手技にあてはまるあたりまえのことですね。)

 

2 適応

3D拘縮リハは筋繊維の構造と筋の起始停止、筋の生理学的作用の3つを利用します。

よって、脳疾患、整形疾患、外傷などの病名や疾患を問わず効果が見込めることが特徴です。

また、筋短縮、軟部組織変性、靭帯損傷、骨変形など、拘縮の原因がどのようなものでも区別無く適応可能です。(理由は後述します。)

3 禁忌

  • 3D拘縮リハは負荷の高い運動を行いませんが、循環器疾患や起立性低血圧、長期臥床などの方には運動負荷を慎重に見極める必要があります。
  • 骨粗しょう症の方には特に低負荷で行う必要があります。
  • 前述の通り、多大な時間をかければ改善するがコストとベネフィットが見合わない場合があります。
  • 先天的な変形、後天的な変形は適応ですが、腱伸張術や関節置換などの外科的な変形を行った場合は適応外となる場合があります。
  • 筋組織の大規模な変性、起始停止の異常がある場合は適応外です(このような大規模な変性がある場合、生命機能に重大な欠損があり存命していない可能性が高いので臨床では考慮しなくてもよいと思います)

4 注意事項

  • 力任せに曲げようとするのは危険です。
  • 愛護的であっても持続的伸張は筋を損傷します。
  • 正しく行えば、セラピストは動きの補助を行うだけで自然に動いてきます。

 

つまり、3D拘縮リハは基本的には疾患や病名問わず使えます。

ですが、体力が落ちているなどで運動自体が危険な場合は行わないでください。痛みや違和感がある場合も無理に行わないでください。

 

 

拘縮リハで途方にくれないための、筋の起始停止から3Dで考える方法

新人セラピストさんであれば、患者さんの硬くなってしまった手足を見て途方にくれてしまった経験があるかもしれません。

「リハビリの国家資格所有者なのに、拘縮の治し方を知らない??」

と思う方もいるかもしれませんが、リハビリの学校では拘縮の原因や組織の変性については教えてくれますが、具体的な拘縮リハをしっかり教えてくれる場所は少なく、学生のうちに拘縮を治す経験を積ませてくれる学校は皆無です。随分改善されたとはいえ、リハビリのカリキュラムは知識偏重の傾向があるので、よりよいリハビリ目指して改善していきたいところですね。

 

というわけで、

拘縮って何?どうやって治せばいいの?

という疑問について理論だけでなく臨床で使える考え方と手技を書いていきます。

 

 

3D拘縮リハの適応と禁忌

これに関しては長くなってしまったので別にまとめました。

 

sinka-body.hatenablog.com

 

簡単にまとめると、3Dリハビリは軽い運動でも危険なほどの重篤な状態以外であれば疾患や障害部位を問わず使えます。

 

 

では、まずは筋の性質から解説してゆきます。

おさらい:筋の性質

筋肉は一定方向に規則正しく繊維が並んでいます。

f:id:sinka-body:20170530155351j:plain

筋繊維の方向は筋の起始停止が規定します。

つまり、起始停止が近づくor遠ざかる方向の運動には強いのですが、それ以外の方向に動くようには想定されていないデザインです。

f:id:sinka-body:20170530155758j:plain

  • 筋は起始停止が近づく方向に収縮する
  • 起始停止が遠ざかる方向の伸張は安全に行える
  • 一つの筋の中で起始停止が近づく運動(収縮)と遠ざかる運動(伸張)が同時に起こると筋繊維は破壊されやすい

このような筋生理学的現象を、実際のヒト運動学に適応したのが3D運動学です。

つまり、

  • もっとも安全な運動は、筋の起始停止が近づくor遠ざかる方向の運動である
  • 拘縮や変形、痛みの原因は、筋の起始停止方向に動いていないことである

という考え方です。

 

起始停止の3D構造から考える正しい関節ROM訓練

具体例として、大殿筋を考えてみましょう。

大殿筋は伸筋、だが場合によっては屈筋、歩行時には主に遠心性に作用するなど、なんのためにあるのか捉えにくい筋の代表例です。ですが、『筋の求心性作用は、起始部と停止部を近づける作用をするために存在する』と考えてみるとシンプルに理解できます。

【大殿筋の起始・停止】

(起始)

後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、胸腰筋膜、仙結節靭帯らに付着。

(停止)

浅層は、大腿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移る。

深層は、大腿骨の臀部粗面に付着。

http://www.musculature.biz/40/44/post_168/

大殿筋は大腿後方の筋ではない 

後面からみた大殿筋です。今回は単純化のため、大殿筋長頭のみを考察しています。

ほとんどの教科書にはこのような後面からみた図が載っているため、大殿筋は大腿後方の筋であるという誤解をしている方がよくいます。

f:id:sinka-body:20170530162431j:plain

ですが、大殿筋のは大腿筋膜張筋につながり、脛骨外側前面に付着します。

つまり、ヒトにおける大殿筋は90度ねじれた形になっています。

f:id:sinka-body:20170530163135j:plain

f:id:sinka-body:20170530163146j:plain

 

このような筋の起始停止がもっとも近づく肢位、つまり大殿筋が最も収縮する肢位は

股関節屈曲90度、外転90度、外旋90度

です。

f:id:sinka-body:20170530163329j:plain

逆に最も伸張する肢位は

 

股関節伸展10度、内旋90度、外転10度と考えられます。

f:id:sinka-body:20170530165200j:plain

この肢位の算出方法としては、xyzそれぞれの平面で以下の証明を利用しました。

(簡単な証明ですが、臨床にはあまり関係ないので、興味のある方だけ読んでください)

f:id:sinka-body:20170530164031j:plain

 

 

つまり、大殿筋の正しい作用は

股関節屈曲90度、外転90度、外旋90度の肢位から、股関節伸展10度、内旋90度、外転10度の肢位までxyz全ての座標において等分に移動することです。

 

画像をクリックすると動画ははじまります。

f:id:sinka-body:20170530165432g:plain

 

つまり、大殿筋の筋力低下、筋短縮、アライメント異常においてはこのような↑運動を徒手で行うことが治療になります。

 

また、今回は大殿筋のみ解析しましたがハムストリングスや四頭筋など全ての筋で上記と同様の『屈曲外転外旋』と『伸展外旋内旋』パターンとなります。

そしてさらに、上記の運動の関節部を拡大してみると、骨が脱臼しない正しい3D骨運動となっていることがわかります。

 

 

 

 クリックすると動画がはじまります。

上記大殿筋運動と全く同様の運動の股関節部分拡大図です。

f:id:sinka-body:20170530165958g:plain

 

 つまり、今回の手技は大殿筋の治療のみに焦点をあてたにも関わらず、他の筋や骨にとっても効果の高いリハビリが行えます。また、この運動は神経や靭帯なども過度な負荷がかからない安全な運動です。これは生物においては全ての形状は合理的に決定されるというwolfの法則で説明できます。

これが3Dリハビリが『疾患を問わず効果が見込める』理由です。

 

つまり、

ROMエクササイズ=筋トレ=中枢麻痺改善=末梢神経回復=アライメント修正

と、一つの運動で様々な効果を出すことができます。体は全て繋がっているのだから、あたりまえといえばあたりまえな理論です。

 

これまでのリハビリでは(というか医学では)筋は筋、骨は骨、神経は神経、と全く別のものとして研究を深めてきました。それはとても意義深いものですが、今後はAIなどで大量のデータを扱うことができるようになったため個別の組織についての研究を俯瞰し、全体像を掴む方向性の研究が進んでゆくだろうと考えています。

 まとめ

 股関節の拘縮の治し方

  • 筋の起始停止を3D的に捉え、3D運動を行う

 

理論は難しいですが、やることはとてもシンプルです。

正しく行えば、最短時間で最大の効果が見込めます。何十年も治らなかった方など改善しにくい方などにも使ってみてください。

立体構造を把握するのはなれないと難しいかもしれないので、骨標本等でしっかり確認しながら試してみてください。

 

 

 

 

股関節【屈曲】ROM、やってしまっていませんか?安易な屈曲は危険です。

今回は歩行と股関節についての3D分析です。

歩行時に股関節だけでなく骨盤運動が起こるため、骨盤や体幹リハビリが重要、ということは教科書にもよく書いてあります。ですが、骨盤運動がどのように下肢に影響を及ぼしているかまで踏み込んでいる教科書は、ほぼ皆無です。

 

今回の記事は、画像をクリックすると動画がはじまります。

 

教科書に載っている数値をもとに、骨盤と股関節運動を行った歩行運動のシュミレーションがこちらです。

画像クリックで動画がはじまります。

f:id:sinka-body:20170529145847g:plain

ごく一般的な歩行に見えます。 

下肢はほぼまっすぐに屈伸しているように見えます。(今回は骨盤と股関節のみを動かしているため、足部が外反しているようにみえていますが気にしないでください)

 

歩行時に股関節が屈伸しているという大誤解

ということは、股関節もまっすぐ屈伸している…?と思ってしまいがちですが、これは大きな間違いです。歩行や階段昇降ができないからといって股関節のROMを行うと効果がないばかりか麻痺や変形を悪化させてしまいます。

 

 骨盤の影響を取り沿いた純粋な股関節運動シュミレーション

画像をクリックすると動画がはじまります

f:id:sinka-body:20170529151741g:plain

 

 

 

右側が股関節のみ抽出した運動、左側が教科書通りの骨盤の動きをした歩行です。

f:id:sinka-body:20170529151923j:plain

 

画像クリックで動画がはじまります。

f:id:sinka-body:20170529151855g:plain

 

 

 

 

f:id:sinka-body:20170529151932j:plain

 

画像クリックで動画がはじまります。

f:id:sinka-body:20170529151901g:plain

 

 

 このように、一見まっすぐに見える下肢の運動は一つ一つの関節に注目するとまっすぐではないのが正常歩行です。

 

股関節リハビリは何をすればいい?

 

 股関節に関しては

  • 屈曲+外転+外旋
  • 伸展+外転+内旋

という複合運動が起こるのが正常です。教科書に載っているROM的な動きは本来の股関節運動ではなく、骨や靭帯が傷む危険な運動です。股関節屈伸をはじめとする教科書的なROMは臨床で最もやってはいけない危険な動作です。

もし本当に教科書的な『股関節屈曲』が起こるとすると、骨がめり込みます。大怪我ですね(汗)

 

画像クリックで動画がはじまります。

f:id:sinka-body:20161126224829g:plain

 

股関節や腰部の痛み・可動域制限・筋力低下・歩行困難などのリハビリでは

  1. 股関節の自然な複合運動を出す
  2. 股関節をフォローする骨盤運動を出す

というステップで行う必要があります。

股関節が正常な位置にきていない状態で、持続的伸張や筋トレ、ROMエクササイズ、自動運動などを行うのは効果が無いだけでなく怪我や悪化の危険があります。まずは各関節の3D複合運動を理解し、しっかり評価できるようになるのがリハビリの第一歩です。

 

6月の講習会では、筋の走行を3Dで捉えなおし、3D複合運動を行うことで股関節と歩行に対するアプローチを行います。

 

 

7月の肩関節はそろそろ定員いっぱいなのですが、なぜか6月の歩行の参加者は少ないので、少人数でじっくり学べるチャンスです。

sinka-body.hatenablog.com

 

 

180度開脚を可能にする、シルヴィ・ギエムの体幹の秘密

ポリゴンの骨モデルでのシュミレーションを行うことで様々なトップアスリートの身体の秘密に迫るシリーズ、『100年に一度の天才バレリーナ』シルヴィ・ギエムの二回目です。

 

 一回目はこちら。

sinka-body.hatenablog.com

 前回の考察では、『股関節のみでは180度開脚は不可能』ということが分かりました。股関節は思った以上に可動域の狭い関節なので、見かけ上の股関節の可動域の大半は体幹の代償動作で起こっています。

そのこと関してはバレエやダンスなどをやっている方であればご存知の方も多いかもしれません。ですがあまり体のことを知らない方だと無茶な柔軟体操で股関節を傷めてしまうことが多いので注意が必要です。

 

180度開脚するシックスオクロックのポーズは股関節の運動だけでは不可能です。では、どうすれば180度開脚が可能になるでしょうか。

 

一口に180度開脚と言っても、まっすぐに開脚するのと横向きに開脚するのでは実は真逆の動きをしていたりと複雑なのですが、共通するのは体幹をしっかり動かす必要があるということです。

体幹の側屈

ギエムの体幹は一見まっすぐに見えますが、実はとても大きく側屈しています。

f:id:sinka-body:20170413212935j:plain

体幹が横に曲がっているのですが、上下のバランスが良いので全体的にはまっすぐなように見えます。これを可能にするのが胸椎の回旋です。普通の人の胸椎はとても硬く、ほとんど動きません。ギエムは胸椎の回旋ができているため普通より大きく体幹が動きます。(胸椎の『回旋』ではなくて『側屈』ではないか?と思われるかもしれません。あまり知られていないことですが、胸椎は肋骨との関係上、ほとんど側屈しません。それは後日解説したいと思います。)

 

骨盤の後傾

また、ギエムの骨盤は後傾しています。バレエでは一般に骨盤を強く前傾させることで足を高く持ち上げますが、シックスオクロックでは真逆の戦略を採用しています。

ギエムは骨盤の後傾によって体幹の矢状面(前後)のまっすぐさを演出しています。おそらく、シックスオクロックのポーズは横から見たときにも体幹がまっすぐに見えるはずです。

f:id:sinka-body:20170413215352j:plain

バレエでは股関節外旋と骨盤前傾を多用します。シックスオクロックは伝統的なバレエの姿勢に骨盤後傾という要素を取り入れたということができるかもしれません。

 

また、骨盤の後傾をすると下肢が持ち上がりますので、股関節の負担が少なくなります。これもギエムの29年間の現役を支え続けた秘密の一つでしょう。

 

 

一見まっすぐのように見えるギエムの体幹は実はかなり大きく側屈しているということが分かりました。次回はこの体幹側屈によって脚はどのような影響を受けているのかを考えていきたいと思います。

f:id:sinka-body:20170413212935j:plain

 

 

 

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

人類を越えた身体の謎に迫る 100年に一度の天才、シルヴィ・ギエム編

3DCGを使ったシュミレーションで様々な分野の達人たちの身体の秘密に迫るシリーズ第一弾は100年に一度の天才バレリーナであるシルヴィ・ギエム編です。

 

シルヴィ・ギエムってどんな人?

シルヴィ・ギエム(Sylvie Guillem, 1965年2月25日 - )は、フランス・パリ生まれのバレエダンサー。 100年に1人の逸材とまで称される現代バレエの女王。

wikipedia

 バレエの常識を変えた、と言われるほどの高い身体能力を持ち、早期引退が多いバレリーナの中で29年間トップに君臨し続けた方です。

ギエム シックスオクロックの謎

シルヴィ・ギエムは100年に一度の天才と呼ばれ、バレエの常識を塗り替えたと言われる様々なパフォーマンスを生み出ました。

ちょうど時計の針が6時を指すように、180度開脚するシルヴィ・ギエムのシックスオクロック。シルヴィ以前とシルヴィ以降でバレエの常識が変わってしまうほど画期的だったそうです。足がまっすぐ真上に上がるなんて、素人目に見てもものすごいインパクトですね。

f:id:sinka-body:20170413223540j:plain

 一体彼女の骨格はどうなっているのでしょう。何か他の人と全く違う、特別な骨の形をしているのでしょうか?

 

今回はギエムの股関節についていろいろと考えていきたいと思います。

 

股関節だけでは180度開脚はできない

まず、もしも股関節だけでこのポーズをしたらどうなるかをシュミレーションしてみます。

f:id:sinka-body:20170413210207j:plain

大腿骨が骨盤にめりこんでしまっています。こんなことは骨盤骨折でもしないと不可能ですね。股関節は自由度の高い関節だと思われていますが、荷重により大きな負荷が常にかかる上に、実はとても自由度の低い関節なので変な動きをするとすぐに痛めてしまいます。ですから、よくある股関節のストレッチは非常に危険です。

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

今回のまとめ

股関節だけでは180度開脚は不可能

 

次回は、どのようにすればシックスオクロックのような真上に足を上げるポーズができるのかを考えていきます。

 

 

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

 

sinka-body.hatenablog.com

 

OHや股関節の痛みと骨盤の関係

股関節や膝など、下肢のリハビリを行う場合には必ず骨盤や体幹の評価を行う必要があります。

ですが、体幹の治療に苦手意識を持っているセラピストも多いのではないでしょうか?

 

難しいイメージのある体幹リハビリですが、相対的運動という考え方をすればとてもシンプルです。

 

まず基本として、手足と体幹はつながっています。つまり、体幹だけが動くということはありえません。あまりにあたりまえすぎて普段意識しない部分ですが、これが実はとても大切な考え方になります。

 

f:id:sinka-body:20170317205852g:plain

 

つまり、普段我々が当たり前のように行っている骨盤の傾斜などの動きも、ありえない動きということになります。

f:id:sinka-body:20170317210605g:plain

もしも純粋な骨盤傾斜を行うと、このような動きになります。

f:id:sinka-body:20170317211213g:plain

かなり無理のある体勢ですね。

f:id:sinka-body:20170317211430j:plain

 

一般的な骨盤の傾斜を行うためには、股関節の内外転が必須になります。

一見動いていないように見える股関節ですが、実はかなり大きく動いているからこそ見かけ上動いていないように見える状態を作り出すことができています。

このような現象は全身で常に起きていて、一見動いていない状態を作り出すためには全ての関節の可動性が必要になります。

f:id:sinka-body:20170317211809g:plain

 

このような考え方をすると、骨盤の位置が下肢に大きな影響を及ぼしていることがよく分かります。

膝の変形や股関節の変形、歩容など下肢のリハビリを行うときには骨盤のアライメント評価も行い、見かけ上動いていない関節が実際にはどのように動いているかを評価していくことが大切です。