進化から理学療法を考える 姿勢発達研究会のブログ

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股関節【屈曲】ROM、やってしまっていませんか?安易な屈曲は危険です。

今回は歩行と股関節についての3D分析です。

歩行時に股関節だけでなく骨盤運動が起こるため、骨盤や体幹リハビリが重要、ということは教科書にもよく書いてあります。ですが、骨盤運動がどのように下肢に影響を及ぼしているかまで踏み込んでいる教科書は、ほぼ皆無です。

 

今回の記事は、画像をクリックすると動画がはじまります。

 

教科書に載っている数値をもとに、骨盤と股関節運動を行った歩行運動のシュミレーションがこちらです。

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ごく一般的な歩行に見えます。 

下肢はほぼまっすぐに屈伸しているように見えます。(今回は骨盤と股関節のみを動かしているため、足部が外反しているようにみえていますが気にしないでください)

 

歩行時に股関節が屈伸しているという大誤解

ということは、股関節もまっすぐ屈伸している…?と思ってしまいがちですが、これは大きな間違いです。歩行や階段昇降ができないからといって股関節のROMを行うと効果がないばかりか麻痺や変形を悪化させてしまいます。

 

 骨盤の影響を取り沿いた純粋な股関節運動シュミレーション

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右側が股関節のみ抽出した運動、左側が教科書通りの骨盤の動きをした歩行です。

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 このように、一見まっすぐに見える下肢の運動は一つ一つの関節に注目するとまっすぐではないのが正常歩行です。

 

股関節リハビリは何をすればいい?

 

 股関節に関しては

  • 屈曲+外転+外旋
  • 伸展+外転+内旋

という複合運動が起こるのが正常です。教科書に載っているROM的な動きは本来の股関節運動ではなく、骨や靭帯が傷む危険な運動です。股関節屈伸をはじめとする教科書的なROMは臨床で最もやってはいけない危険な動作です。

もし本当に教科書的な『股関節屈曲』が起こるとすると、骨がめり込みます。大怪我ですね(汗)

 

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股関節や腰部の痛み・可動域制限・筋力低下・歩行困難などのリハビリでは

  1. 股関節の自然な複合運動を出す
  2. 股関節をフォローする骨盤運動を出す

というステップで行う必要があります。

股関節が正常な位置にきていない状態で、持続的伸張や筋トレ、ROMエクササイズ、自動運動などを行うのは効果が無いだけでなく怪我や悪化の危険があります。まずは各関節の3D複合運動を理解し、しっかり評価できるようになるのがリハビリの第一歩です。

 

6月の講習会では、筋の走行を3Dで捉えなおし、3D複合運動を行うことで股関節と歩行に対するアプローチを行います。

 

 

7月の肩関節はそろそろ定員いっぱいなのですが、なぜか6月の歩行の参加者は少ないので、少人数でじっくり学べるチャンスです。

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180度開脚を可能にする、シルヴィ・ギエムの体幹の秘密

ポリゴンの骨モデルでのシュミレーションを行うことで様々なトップアスリートの身体の秘密に迫るシリーズ、『100年に一度の天才バレリーナ』シルヴィ・ギエムの二回目です。

 

 一回目はこちら。

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 前回の考察では、『股関節のみでは180度開脚は不可能』ということが分かりました。股関節は思った以上に可動域の狭い関節なので、見かけ上の股関節の可動域の大半は体幹の代償動作で起こっています。

そのこと関してはバレエやダンスなどをやっている方であればご存知の方も多いかもしれません。ですがあまり体のことを知らない方だと無茶な柔軟体操で股関節を傷めてしまうことが多いので注意が必要です。

 

180度開脚するシックスオクロックのポーズは股関節の運動だけでは不可能です。では、どうすれば180度開脚が可能になるでしょうか。

 

一口に180度開脚と言っても、まっすぐに開脚するのと横向きに開脚するのでは実は真逆の動きをしていたりと複雑なのですが、共通するのは体幹をしっかり動かす必要があるということです。

体幹の側屈

ギエムの体幹は一見まっすぐに見えますが、実はとても大きく側屈しています。

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体幹が横に曲がっているのですが、上下のバランスが良いので全体的にはまっすぐなように見えます。これを可能にするのが胸椎の回旋です。普通の人の胸椎はとても硬く、ほとんど動きません。ギエムは胸椎の回旋ができているため普通より大きく体幹が動きます。(胸椎の『回旋』ではなくて『側屈』ではないか?と思われるかもしれません。あまり知られていないことですが、胸椎は肋骨との関係上、ほとんど側屈しません。それは後日解説したいと思います。)

 

骨盤の後傾

また、ギエムの骨盤は後傾しています。バレエでは一般に骨盤を強く前傾させることで足を高く持ち上げますが、シックスオクロックでは真逆の戦略を採用しています。

ギエムは骨盤の後傾によって体幹の矢状面(前後)のまっすぐさを演出しています。おそらく、シックスオクロックのポーズは横から見たときにも体幹がまっすぐに見えるはずです。

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バレエでは股関節外旋と骨盤前傾を多用します。シックスオクロックは伝統的なバレエの姿勢に骨盤後傾という要素を取り入れたということができるかもしれません。

 

また、骨盤の後傾をすると下肢が持ち上がりますので、股関節の負担が少なくなります。これもギエムの29年間の現役を支え続けた秘密の一つでしょう。

 

 

一見まっすぐのように見えるギエムの体幹は実はかなり大きく側屈しているということが分かりました。次回はこの体幹側屈によって脚はどのような影響を受けているのかを考えていきたいと思います。

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人類を越えた身体の謎に迫る 100年に一度の天才、シルヴィ・ギエム編

3DCGを使ったシュミレーションで様々な分野の達人たちの身体の秘密に迫るシリーズ第一弾は100年に一度の天才バレリーナであるシルヴィ・ギエム編です。

 

シルヴィ・ギエムってどんな人?

シルヴィ・ギエム(Sylvie Guillem, 1965年2月25日 - )は、フランス・パリ生まれのバレエダンサー。 100年に1人の逸材とまで称される現代バレエの女王。

wikipedia

 バレエの常識を変えた、と言われるほどの高い身体能力を持ち、早期引退が多いバレリーナの中で29年間トップに君臨し続けた方です。

ギエム シックスオクロックの謎

シルヴィ・ギエムは100年に一度の天才と呼ばれ、バレエの常識を塗り替えたと言われる様々なパフォーマンスを生み出ました。

ちょうど時計の針が6時を指すように、180度開脚するシルヴィ・ギエムのシックスオクロック。シルヴィ以前とシルヴィ以降でバレエの常識が変わってしまうほど画期的だったそうです。足がまっすぐ真上に上がるなんて、素人目に見てもものすごいインパクトですね。

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 一体彼女の骨格はどうなっているのでしょう。何か他の人と全く違う、特別な骨の形をしているのでしょうか?

 

今回はギエムの股関節についていろいろと考えていきたいと思います。

 

股関節だけでは180度開脚はできない

まず、もしも股関節だけでこのポーズをしたらどうなるかをシュミレーションしてみます。

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大腿骨が骨盤にめりこんでしまっています。こんなことは骨盤骨折でもしないと不可能ですね。股関節は自由度の高い関節だと思われていますが、荷重により大きな負荷が常にかかる上に、実はとても自由度の低い関節なので変な動きをするとすぐに痛めてしまいます。ですから、よくある股関節のストレッチは非常に危険です。

 

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今回のまとめ

股関節だけでは180度開脚は不可能

 

次回は、どのようにすればシックスオクロックのような真上に足を上げるポーズができるのかを考えていきます。

 

 

 

 

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OHや股関節の痛みと骨盤の関係

股関節や膝など、下肢のリハビリを行う場合には必ず骨盤や体幹の評価を行う必要があります。

ですが、体幹の治療に苦手意識を持っているセラピストも多いのではないでしょうか?

 

難しいイメージのある体幹リハビリですが、相対的運動という考え方をすればとてもシンプルです。

 

まず基本として、手足と体幹はつながっています。つまり、体幹だけが動くということはありえません。あまりにあたりまえすぎて普段意識しない部分ですが、これが実はとても大切な考え方になります。

 

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つまり、普段我々が当たり前のように行っている骨盤の傾斜などの動きも、ありえない動きということになります。

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もしも純粋な骨盤傾斜を行うと、このような動きになります。

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かなり無理のある体勢ですね。

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一般的な骨盤の傾斜を行うためには、股関節の内外転が必須になります。

一見動いていないように見える股関節ですが、実はかなり大きく動いているからこそ見かけ上動いていないように見える状態を作り出すことができています。

このような現象は全身で常に起きていて、一見動いていない状態を作り出すためには全ての関節の可動性が必要になります。

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このような考え方をすると、骨盤の位置が下肢に大きな影響を及ぼしていることがよく分かります。

膝の変形や股関節の変形、歩容など下肢のリハビリを行うときには骨盤のアライメント評価も行い、見かけ上動いていない関節が実際にはどのように動いているかを評価していくことが大切です。

 

 

膝の立体構造を考えるセミナー開催しました

埼玉で開催した膝拘縮のセミナー無事終了しました。参加された皆さんありがとうございました。

今回のテーマは膝の拘縮と痛みをメインに、膝の3D構造から考える正しい膝のROMと筋力増強、O脚や膝折れなど様々な疾患へのリハビリ法でした。

膝の疾患、といってもやはり全身が関わってきますので膝だけでなく股関節や体幹の話もありました。

 

膝をテーマにしたセミナーは今回が初めてだったのですが、参加されるセラピストのほとんどは膝の痛みや可動域制限などは無いため実技がやりにくいという意外な欠点がありました。このあたりは肩や股関節と違うところですね。次回は膝の痛みなどある方の参加があるといいのですが…

 

また、今回前半は理論編、後半は実技編ということで実技に関しては感性というか、ひたすら反復練習するという根性論的な部分がどうしてもあります。次回5月の股関節編に関しては筋の起始停止という客観的な指標を導入し、できるかぎり分かりやすく習得しやすいようにしていきたいです。

セラピスト自身のセルフケアやボディワークも体系化していきたいですね。

 

基本的に私の講習会はできるかぎり理論的に、客観的に、きちんと学ぶことで感性やセンスを問われない技術を身につけることを目的としていますが、複雑な部分や手技の部分のマニュアル化はなかなか難しいものです。私自身が「考えるな感じるんだ」系の人間なのでなおさらそう思ってしまうのかもしれません(汗

 

 

ご参加ありがとうございました。

 

 

次回は5月に股関節をテーマとした講習会を予定しています。

こちらは旧下肢編のリニューアル版ですが、筋と靭帯を指標とすることで手技がとてもわかりやすくなりました。

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治ったはずなのに治っていない?股関節リハビリの効果が出ない理由

股関節のリハビリは何故か効果が出にくいことがあります。

  • 臥位や座位では改善しているのに、肝心の立位や歩行に反映されない
  • 可動域は改善したのに、痛みが悪化した
  • 画像所見と実際の病態が一致しない

など、「治ったはずなのに、治っていない」という不思議なことが時々起こります。これは肩や体幹ではあまり起こらないのですが、下肢、とくに股関節でよくある現象です。

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股関節は荷重が大前提

股関節は歩行や立位など、体重を支える必要があることが上肢や体幹との大きな違いです。免荷状態ではさほど問題にならない肢位でも荷重すると負担が大きく痛みや変形の原因になることがあります。これが「免荷状態では改善しているのに、荷重すると悪化する」という現象の原因です。

股関節の自由度は高い?低い??

バレエをはじめとするスポーツ医学でも最近は「股関節の自由度の大半は体幹の代償動作」ということが知られてきています。股関節は本来、自由度が非常に低い関節です。

ですが、実際には無理なストレッチを行うことで不自然な股関節の可動性を出すことができてしまいます。

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ですが、この肢位は靭帯や筋を無理に歪ませます。限界まで引き伸ばされた靭帯に荷重すれば靭帯が傷み、骨が削れてきてしまいます。これが変形性股関節症を初めとする股関節疾患の原因です。

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私は「股関節は人体で一番自由度の低い関節」と言っています。ですがもう少し正確に言うと「股関節は自由度が高い、しかし安全に荷重するためには自由度を可能な限り低くする必要がある」ということになります。

 

股関節の自由度を出すストレッチは危険です

免荷状態で負荷をかければ靭帯が引き伸ばされ、股関節の可動性が上がります。

ですが、股関節は歩行と立位のための関節であり、臥位や座位でどれだけ動いても意味はありません。むしろ臥位や座位で無理に動かすことで軟部組織を不自然に伸張し怪我の原因になります。

特に股関節に関しては、正しい運動方向をきちんと理解して動かすことが重要になります。

 

また大腿骨は細長い形状をしているため大きな負荷をかけやすく、自分では気づかないうちにかなり無理な負荷をかけてしまうことがよくあります。整体院に来る方のなかにも、無理な股関節ストレッチが原因で股関節が痛くなることが結構多いようです。セラピストによる他動運動も、骨の3D運動をきちんと理解して慎重に行ってください。

 

 

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 股関節講習は随時開催予定です。

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一歩先に進むためのリハビリ技法 股関節と歩行・整形疾患編~3Dと進化から考える運動学と治療

 

 

股関節は自由度の高い関節と思ってしまっていませんか?

 

実は股関節は人体で2番目に自由度の低い関節です。

3DキネシオロジーではCGやCAD、物理演算エンジンといった工学シュミレーションソフトで3Dアトラスを解析し、股関節本来の運動方向を導き出ました。

 

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従来平面的に捉えられていた股関節と歩行の運動を立体に捉えると、複雑に思えた股関節運動は『内側回旋』『外側回旋』の二種類のみという非常にシンプルな運動をしています。

本来自由度の低い関節を無理に動かそうとすることが股関節の痛みと変形につながります。また、無理な自由度を出そうとするリハビリによって症状が改善しないばかりか悪化する可能性があることが立体解析によって分かりました。

 

この2つの運動方向をきちんと把握することで、変形性股関節症、股関節拘縮、痛みや歩行困難、人工骨頭置換術など股関節と歩行の問題にしっかりとした結果を出すことができるようになるための講座です。

 

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【内容】

【治療】

拘縮のよくある誤解 

 ×骨変形が原因

 ×筋短縮が原因

ROMのよくある誤解

 ×関節には自由度がある

 ×ROMは治療効果がある

治療のよくある誤解

 ×持続的伸張

 ×筋トレ

股関節は70度までしか屈曲しない、の証明

股関節の立体的な運動方向

股関節と骨盤、体幹の関係

OH・大腿骨頭壊死・リウマチ性OH・関節唇損傷・人工骨頭・先天性股関節症など様々な疾患の共通点と本当の原因の見つけ方

【評価】

クレイグテスト、アリステストなど様々なテストの利点と欠点

股関節の3Dリハビリのための2種類のテスト

股関節治療のための骨盤体幹テスト

股関節の見かけ上の伸展の見分け方

痛みや拘縮の原因をつきとめる

【治療】

股関節の3D運動

骨盤と股関節のキネティックチェーン再生

歩行のための股関節ハンドリング

 

 

日時

対象:PTOTST・その他医療従事者・学生・鍼灸師・マッサージ師・ボディワーカーなど

 

 

埼玉

日時 6月18日(日)10時から16時

 

場所 岩槻東口コミュニティセンター

大宮駅より東武野田線岩槻駅より徒歩1分

岩槻駅東口コミュニティセンター/公益財団法人さいたま市文化振興事業団

※人数によって場所が変わることがあります。事前にお送りするメールをご確認ください。

 

受講料 12000円

再受講割引 埼玉開催のみ、股関節編を受けたことのある方は8000円

 

 

 

お支払い方法・お申し込みから2週間以内にカードまたは銀行振り込みをお願いします。

キャンセルポリシー・少人数制のため、お申し込み後のキャンセルは受け付けておりません。ご了承ください。

定員 5名程度

 

 申し込み

お申し込みは以下のリンクから行えます。

http://sinka-body.net/kousyuu.html

 

 

 

 

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