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進化する身体技法の大阪編になります。
場所が変わりました。ご注意ください。
ハンドリングや動作分析など、様々な研究がされてきた分野を『物理と進化』という明快なエビデンスを元に説明し、患者様だけでなく自分自身の身体で実感することで自信を持ってリハビリを行うことができるようにするシリーズです。
これまでは基礎理論メインの内容が多かったのですがこちらは技術メインの実践講座となりますので、以前の講座を受けた方も始めての方も役に立つ内容になっています。
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拘縮などで動かない関節を力任せに引っ張るのは論外ですが、ゆっくり時間をかけて筋緊張を落として伸展させる一般的なROMエクササイズも実は非常に危険です。
ついついやってしまいがちなROMエクササイズですが、安易に行うと「やればやるほど悪化する」ということになりかねません。
麻痺や拘縮の直接の原因は何でしょうか。
筋、神経、脳、など疾患によって様々な原因がありますが、関節が動かなくなる直接的な原因は脱臼です。
PTやOTは根本の原因を知ってそれに対処する考え方を身につけていますから、疾患に関わらず脱臼が全ての関節運動障害の原因、という大雑把な捉え方は馴染みのない考え方かもしれません。
また、肩などの大きな関節の脱臼以外の、手関節や膝関節などの小さな脱臼は非常に目立ちにくく気づかないことが多いかと思います。
↑一見正常ですが、手首がほんの少しずれています。この程度の脱臼でも指先の動きにくさや痺れが生じます。
いくら筋を調整しても脱臼が治らなければ麻痺は治りません。逆に、脱臼を整復すれば早く回復します。
正常な関節の場合、屈筋が収縮すれば屈曲、伸筋が収縮すれば伸展をします。
この動きであれば関節は痛みません。
ですが、関節面がずれた脱臼状態になってしまうとどうでしょうか。
↑実際にはこんなに大きくズレることは稀ですが、わかりやすく単純化しています。
この状態では、屈筋が収縮しても、伸筋が収縮しても関節運動が起こらず、脱臼が悪化する方向に力が働いてしまいます。屈筋も伸筋もどんどん収縮し筋緊張が高くなります。いわゆるBSS3の状態です。
脱臼が原因で筋緊張が高く筋が短縮しているのに、脱臼していることに気づかずにBI抑制やIDストレッチなどで安易に筋緊張を落として無理にROMエクササイズを行うと、脱臼がさらに悪化して麻痺が悪化してしまいます。
熱心にリハビリするほど悪化するという悪循環です。
脊髄反射を利用すれば筋緊張は落ちます。
ですが、筋緊張が高くなっているのにはそれなりの理由があります。その理由を無視して安易に筋緊張を落とし関節がズレたまま運動をさせると一瞬可動域が上がりますが結果的にさらに悪化してしまいます。
なぜ、筋緊張が高くなっているのか?
関節アライメントは正常か?
を考えることが、効果のあるリハビリを行うために必要です。
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前回、脊柱は純粋な側屈をすると脊髄損傷になってしまう、ということを書きました。今回は、ではどのようにしてヒトは側屈を行っているのかを書きます。
前回の記事
目次
脊柱は脊髄を保護するため、基本的に回旋しかしません。
ですがこれでは側屈も屈曲もできません。
大きく体幹を動かすため、セキツイ動物は関節面を傾斜させました。
関節面が斜めになることにより、回旋すると軸がずれるようになります。
右に回旋すると右に側屈します。
これがカップリングモーションです。骨の形状から非常にシンプルにカップリングモーションを導き出すことができます。
軸をずらした回旋というのは従来の平面的な運動理解ではほとんど扱われてこなかった部分ですのでイメージしにくいかもしれません。
こちら↓がコマのような軸のずれていない回旋です。一般に『回旋』というとこのような純粋なねじりをイメージすると思いますが、生物としてはかなり特殊な動きです。
こちらが軸のずれた回旋です。パラボナアンテナや傘のような円錐状の軌跡を描きます。
この軸のズレが小さければ平面関節と呼ばれ、少し大きくズレていれば膝や肘などの螺旋関節、大きくズレていれば肩関節や股関節などの球(臼)関節、と分類されます。
これが理解できると、単純な屈曲伸展を行う古典的ROMが関節を痛める原因になることも分かるようになり、より効果の高い3次元のROMを行うことができるようになります。何十年も固まって拘縮を起こしている方でもするりと動くので患者さんに驚かれます。
その場で回旋させると自然に屈伸がでてきますので、まずは「ROMは無理に引き伸ばすのではなく、とりあえずねじっておく」と覚えておいてください。
マンウェルニッケのROMの方法については以下の記事に少し書きました。
本当は全ての関節についてブログで解説できるといいのですが、画像を作るのがなかなか大変です。模型を実際に手にとって動かしてみれば一目瞭然なのですが、ブログのほうでも少しづつ書いていきたいと思います。
平面関節、蝶番関節などという分類は学校の教科書にも書かれている基本中の基本ですが、意味を理解せずに丸暗記するのは結構大変なものです。ですが、『軸のズレ』『脊柱の保護』などの考え方をすれば系統立てて覚えることができるので、国試対策にもなるかもしれません。
筋肉の起始停止などもいきなりヒトの筋を覚えようとすると意味不明ですが「生物がどのように進化してきたか」を考えると覚えやすくなります。
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体幹の純粋な側屈は存在せず、側屈には必ず回旋が伴うという「カップリングモーション」という現象が知られています。今回3DCGで脊柱のモデルを作って解析してみたところ、非常にシンプルに体幹の可動性が説明できました。
腰椎のみ反対側回旋の理由やS字カーブの理由などもこれで説明できますし、上下肢の運動は全て体幹の可動性から発生するということもわかります。
脊柱の中には脊髄が通っています。脊髄が傷つくと脊髄損傷になります。
そして、脊椎が純粋な側屈は、こんな動き↓になります。
脊髄がぽきりと折れてしまうから、脊柱は純粋な側屈をしません。
そして、体幹のリハビリを行う際に純粋な側屈を行う危険性もこれで分かります。
このように、臨床や研究で観察される事象は全て物理的に説明することができます。というより、物理的に合理的であるからこそ「正しい動き」として一般に観察することができるという順番が正しいのでしょう。
余談ですが、肩甲骨面挙上や歩行時の骨盤の回旋なども上記のような骨の形状から導き出すことが可能です。そのあたりは講習会では詳しく行いますが、いずれブログにもまとめていきたいと思います。
運動学や理学療法学は新しい学問のため、これまではひたすらに臨床データを集め分析する基礎研究が多くなされてきました。ですが、ある程度のデータの蓄積ができた今後は、積み上げられたデータを物理や人体デザインに基づいて意味づけしていく必要があると私は考えています。
脊椎は頚部・胸部・腰部で形が違いますが、まずは一番オーソドックスなモデルを作りました。
二つ重ねるとこんな風↓に上部椎骨の横突起の凸部が下部椎骨の横突起の凹部にはまるようになっています。うまくできていますね。(このような椎骨のパズルのような形状は上下の体節がくっつくことで起こります。そのあたりの進化も興味深いですがそれはまた今度。)
ですが、このように椎骨同士ががっちりと噛み合っていると、ほとんど可動性がありません。実際の骨はさらに複雑に噛み合っているので特に腰椎などは1度前後しか動かないという研究があります。
このように、通常の状態ではほとんど可動性のない形状をしている脊柱を無理やり動かすことでヘルニアや棘突起の癒着などの障害が起こります。
骨の形状と構成物質の強度から考えると、関節に『可動域』と『脱臼』はあっても『自由度』は存在せず、それぞれの関節にそれぞれ『唯一正解の動き』が存在します。これは脊柱も例外ではありません。
参考過去記事
前後左右自由自在に動くはずの脊柱に『自由度』が存在しないというのはかなり信じがたいですが、人生80年間ずっと同じ関節を使い続ける以上、むやみに自由度を上げて関節を破壊しないというのは非常に重要な生存戦略です。
とはいえ、脊柱には細かく分けると9種類の関節が存在してそれぞれに独自の動きをします。つまり、一つの椎骨は9種類の動きをすることになります。これが体幹のみかけの自由度の高さの理由の一つです。
ざっくり分けて、脊椎の関節は二つに分類することができます。
↑椎体と椎間板から構成される腹側の関節面と、横突起と棘突起から構成される背側の関節面です。
そして、前述したように脊柱は脊髄を守るために存在します*1。つまり、脊髄部分を軸にして動くようにデザインされています。
脊椎の関節といえば椎骨が目立ちますが、もし椎骨を中心に回旋するとこんな風↓に脊椎が捻じ曲がります。
脊髄を軸にして回旋した場合は脊髄は動きません。ほんの1cm前後のことですが、正しい動きをすることが脊髄を保護しより安全で力強い運動を生み出します。そのため、体幹のハンドリングは非常に難しく、これまでセンスや勘といったものに頼ったものが主流でした。ですが骨の形状をきちんと考えることでEBMに基づいたハンドリングを行うことができます。
この動画↑のように脊髄を中心に回旋していれば脊髄はねじれたり引き伸ばされたりせずに動くことができますが、これでは回旋しかできません。
体幹の回旋は上下肢の屈伸に非常に重要で、ヒトはこの回旋の運動を利用して下肢を屈伸させ歩行しています。これは車のエンジンのような歯車構造を考えると説明できますので今後書いていきたいと思います。
ですが、体幹は見かけ上側屈や屈伸をします。前述したように、純粋な側屈や屈伸をすると脊髄損傷になってしまうはずです。
これはどういう現象なのでしょうか。
これは内骨格生物が関節をどのように進化させてきたか?を考えると理解することができます。やっとカップリングモーションの登場です。長くなりましたので次回の記事で説明します。
よほどの達人でない限り、体幹が完全に動くという人はほとんどいません。一見問題ない人でもなにかしら体幹の拘縮を持っています。それはPTや研究者も例外ではありません。そのため、体幹がきちんと動くとはどういうことか?上下肢の運動に体幹がどのように関わっているか?を理解しているPTは非常に少ないように感じます。
体幹を利用して物理的に合理的な運動を行うと、いつもの10分の1、100分の1の力で上下肢を動かすことができます。
このあたりの説明を非常に難しいですが、実際に体を触って実感してもらえれば一発で分かりますので、興味のある方はぜひ講習に来てもらいたいと思います。
この記事の続きはこちら。
参考過去記事
*1:発生学的に考えると、脊柱は椎体を動かすために存在して、脊髄はオマケなのですが、とりあえず今回はシンプルに考えました。
☆開催場所が変更になりました☆
ハンドリングや動作分析など、様々な研究がされてきた分野を『物理と進化』という明快なエビデンスを元に説明し、患者様だけでなく自分自身の身体で実感することで自信を持ってリハビリを行うことができるようにするシリーズです。
これまでは基礎理論メインの内容が多かったのですがこちらは技術メインの実践講座となりますので、以前の講座を受けた方も始めての方も役に立つ内容になっています。
■日時
5月 14日(土) 10:00 ~ 16:00 会場受付9:45
5月 15日(日) 10:00 ~ 16:00 会場受付9:45
5月 21日(土) 10:00 ~ 16:00 会場受付9:45
21日は懇親会を予定しています。
1日からお好きな日程にご参加いただけます。
全日程参加の場合は一括割引があります。
■受講料8800 円 3回一括申し込みの場合は22000円(4000円割引)
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セラピストにとって最も基本的の「さわりかた」のセミナーです。
■日時 4月 10日(日) 17:00 ~ 19:00
■会場 指圧マッサージパームス様
〒226-0003
横浜線鴨居駅すぐ
横浜市緑区鴨居1-8-10田畑ビル4階
■持ち物 動きやすい服装、ハサミ、のり(貸し出し有)
■受講料 3500 円
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■定員 8名まで ■対象 PT・OT・ST・ その他医療スタッフ
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